サーセン

▼シャロと石流さん

 親子にしか見えなくて可愛いけど、シャロは勘が良い設定があるので相性的には鬼門な予感がするコンビ。
 

シャロ「石流さーん、シャロですよー!」
 石流「何だ」
シャロ「石流さんの名前って漱石ですよねー?」
 石流「そうだ」
シャロ「えへへ」
 石流「……(何故そこで赤面する?)」
シャロ「それって本名なんですかー?」
 石流「……どういう意味だ?」
シャロ「石流さんと同じ名前の人に夏目漱石という昔の作家さんがいますよね?」
 石流「あぁ。「こころ」や「門」などが有名だな」
シャロ「本名は金之助なんですけど、漱石枕流という中国の故事を由来にしたPNだって聞きました〜」
 石流「よく知ってるな」
シャロ「心衣ちゃんに教えてもらいましたー」
 石流「それで?」
シャロ「はい、漱石枕流というのは、自分の失敗を認めず屁理屈を並べて言い逃れすること、負け惜しみの強いことという意味ですよね?」
 石流「そうだ。中国西晋の孫楚が「石に枕し流れに漱ぐ」と言うべきところを、「石に漱ぎ流れに枕す」と言ってしまい、誤りを指摘されると、「石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのは耳を洗うためだ」と言ってごまかした故事が由来だ。だから枕流漱石ともいう」
シャロ「それは重要なファクターだと思います!」
 石流「なに?」
シャロ「石流漱石と漱石枕流、そして枕流漱石。ただでさえ似ているのに、わざわざマイナスな意味を持つ故事を元にした名前を、自分の子供に付けるでしょうか?」
 石流「……単純に夏目漱石にあやかろうとしたのかもしれんぞ(……こいつ、20の変装には見えないが……本当にあのダメダメなシャーロック・シェリンフォードなのか?)」
シャロ「でも、石流さんは夏目漱石の著作だけでなく、漱石枕流の言葉の意味をすらすらと話せるくらい、しっかり把握していました。つまり石流さん本人だけでなく、当然ご両親にもそれなりの教養があるだろうと推測できます。ならば当然漱石の意味も由来も把握しているはずです。無視できない矛盾点だと思います!」
 石流「くっ……」
シャロ「ズバリ!石流さんの名前はPNです!学院の用務員さんやコックさんをしながらミステリ小説を書く覆面作家さんなんです!」
 石流「……は?」
シャロ「だから、石流さんが時々エリーさんと楽しそうに本の話をしていたり、夜に外から私たちの屋根裏部屋を見上げていたりするのは取材の為で、はう〜(パタリ)」
 石流「おい、急に倒れてどうした、大丈夫か?!」
シャロ「はにゃ〜」
 石流「……ん?お前、熱があるぞ?」
 ネロ「あー、シャロみっけ!」
デリア「シャロ……!」
エリー「良かった……石流さんのところで……」
 石流「なんだ,ミルキィホームズか。シャーロックが普段と違ってペラペラと理知的な事を喋り始めて、急に倒れたのだが」
デリア「ええ、朝から妙な調子で、かなり様子はおかしかったんですけど」
 ネロ「今朝、シャロだけベッドから落ちてたからなぁ」
エリー「風邪……かも……」
 石流「仕方ない、保健室に運ぼう」
アンリエット「それでしたら私の部屋の方が近いですから、私の部屋へ」
 石流「はっ」
アンリエット「また前みたいに貴方達全員に感染っても困りますから、暫く私の部屋で面倒みましょう」
デリア「有難うございます、会長!」
 ネロ「その方が早く治りそうだしねー」
エリー「有難うございます……会長……」
 石流「お前たちは部屋からシャーロックの着替えを持って来い。氷嚢など必要な物はこちらで用意する。では参りましょうか、アンリエット様」
アンリエット「ええ、お願いします」
 シャロ「ふにゃ……、おじいちゃん……」

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