根津「さっきトゥ……じゃなかった、二十里先生が一人で外に出かけていったけど?」
石流「ああ。今月末の母の日に贈りたいからと、一人で盗みに行った」
根津「え?母の日って今日じゃないの?」
石流「アイツの実家では5月最後の日曜らしい」
根津「へー」
石流「お前は自分の母親に何か贈ったりしないのか?」
根津「別にぃ。顔なんてロクに見たことないし、そもそも俺、家出中みたいなもんだし」
石流「そうか」
根津「そういうお前は何かしたのかよ?」
石流「白いカーネーションを自室に飾った程度だな」
根津「へぇ。でもなんで赤じゃなくて白?」
石流「……深い意味はない」
根津「ふーん??」
石流「さっき二十里先生に貰ったピンクのカーネーションがあるから、お前にやろう」
根津「えー、いらねぇよ」
石流「そんな面倒くさそうな顔をするな。グラスに入れてやるから、部屋に飾るなり誰かにあげるといい」
根津「エー」
石流「ちなみにピンクのカーネーションの花言葉は「美しい仕草」という」
根津「フーン」

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    根津「結局、押し付けられてしまった……」スタスタ
    根津「美しい仕草、ねぇ……」スタスタ
    根津「(なんとなくアンリエット様の部屋に来てしまった……けど……)」
    根津「(アンリエット様は優しいけど、お母さんみたいっていうのは失礼だろー?)」
    根津「(コレ、ホントどうしよう……)」オロオロ
アンリエット「あら、根津さん?」ガチャ
    根津「あ、アンリエット様?!」
アンリエット「扉の前に根津さんの気配があったから出てみたのですが……。どうかしたのですか?」
    根津「え、いやっ、あのっ、その……」
アンリエット「あら、そのグラスは?綺麗なカーネーションですわね」
    根津「あの、これ、アンリエット様に……!」
アンリエット「あら、私にですか?」
    根津「別にお母さんみたいだとか、そういんじゃなくて、その……!」
アンリエット「フフ、有難うございます、根津さん」
    根津「……っ///」
アンリエット「それにしても、根津さんにしては大胆ですわね」
    根津「え?」
アンリエット「あら?ピンクのカーネーションの花言葉はご存知なくて?」
    根津「えっと……美しい仕草?」
アンリエット「ええ。それともう一つ」
    根津「??」
アンリエット「熱愛、ですわ」(クスッ)
    根津「あ……べ、別にそんなつもりじゃ……っ///」


<おしまい>


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