根津「さっきトゥ……じゃなかった、二十里先生が一人で外に出かけていったけど?」 石流「ああ。今月末の母の日に贈りたいからと、一人で盗みに行った」 根津「え?母の日って今日じゃないの?」 石流「アイツの実家では5月最後の日曜らしい」 根津「へー」 石流「お前は自分の母親に何か贈ったりしないのか?」 根津「別にぃ。顔なんてロクに見たことないし、そもそも俺、家出中みたいなもんだし」 石流「そうか」 根津「そういうお前は何かしたのかよ?」 石流「白いカーネーションを自室に飾った程度だな」 根津「へぇ。でもなんで赤じゃなくて白?」 石流「……深い意味はない」 根津「ふーん??」 石流「さっき二十里先生に貰ったピンクのカーネーションがあるから、お前にやろう」 根津「えー、いらねぇよ」 石流「そんな面倒くさそうな顔をするな。グラスに入れてやるから、部屋に飾るなり誰かにあげるといい」 根津「エー」 石流「ちなみにピンクのカーネーションの花言葉は「美しい仕草」という」 根津「フーン」 ****************************** 根津「結局、押し付けられてしまった……」スタスタ 根津「美しい仕草、ねぇ……」スタスタ 根津「(なんとなくアンリエット様の部屋に来てしまった……けど……)」 根津「(アンリエット様は優しいけど、お母さんみたいっていうのは失礼だろー?)」 根津「(コレ、ホントどうしよう……)」オロオロ アンリエット「あら、根津さん?」ガチャ 根津「あ、アンリエット様?!」 アンリエット「扉の前に根津さんの気配があったから出てみたのですが……。どうかしたのですか?」 根津「え、いやっ、あのっ、その……」 アンリエット「あら、そのグラスは?綺麗なカーネーションですわね」 根津「あの、これ、アンリエット様に……!」 アンリエット「あら、私にですか?」 根津「別にお母さんみたいだとか、そういんじゃなくて、その……!」 アンリエット「フフ、有難うございます、根津さん」 根津「……っ///」 アンリエット「それにしても、根津さんにしては大胆ですわね」 根津「え?」 アンリエット「あら?ピンクのカーネーションの花言葉はご存知なくて?」 根津「えっと……美しい仕草?」 アンリエット「ええ。それともう一つ」 根津「??」 アンリエット「熱愛、ですわ」(クスッ) 根津「あ……べ、別にそんなつもりじゃ……っ///」 <おしまい> |