サーセン

▼ゲーム版の怪盗帝国でエイプリルフールネタ

 ユタカとラットがきゃっきゃしてたら可愛いだろうなって。
 

 ラット「お、ユタカじゃねーか」
 ユタカ「あ、ラット様」
 ラット「ラット様、じゃねーよ!俺よりチビのくせに生意気なんだよ!」
 ユタカ「そ、そんな……僕は別に……」
 ラット「あー、イライラする!その態度が気に喰わねぇんだよっ!」
 ユタカ「痛い痛い!頭をグリグリするのはやめて下さい!」

ガラガラ(ティーワゴンを押す音)

ストリバ「廊下で何をしている、お前たち」
 ラット「げ、ストーンリバー!」
 ユタカ「ス、ストーンリバー様!」
ストリバ「ラット、あまりユタカに意地悪をするな。同じ年頃なのに何故仲良く出来ない?」
 ラット「う、うるせー!俺、別に意地悪じゃねーし!」
 ユタカ「あ、あの、ストーンリバー様、どうしてパティシエみたいな格好を……?」
ストリバ「もうすぐお茶の時間だからな。茶菓子にスコーンを焼いていた」
 ラット「なに、お前お菓子も作れるの?」
ストリバ「ジャムも作ってみた」
 ユタカ「うわぁ……美味しそう……」
 ラット「一個もーらい!」
ストリバ「行儀が悪いぞ、ラット」
 ラット「アルセーヌ様の為の毒見だよ、毒見!……モグモグ、結構旨いな……」
 ユタカ「(ストーンリバー様は悪い人じゃないんだけど、むしろマトモな人なんだけど、ずっと無表情でコワイ……)」
ストリバ「どうした、ユタカ」
 ユタカ「いえ、そのッ、なんでも……っ」
ストリバ「私はトゥエンティを呼んでくるから、これを二人でアルセーヌ様のところに持って行って欲しい」
 ラット「へーい」
 ユタカ「はい、分かりました」
ストリバ「……」
 ユタカ「……(ビクビク)」
ストリバ「まだ私が怖いか、ユタカ」
 ユタカ「い、いえッ、別に、決してそういうわけでは……ッ」
 ラット「当たり前じゃん、何やっててもずっと無表情なんだから怖いに決まってるだろ。俺はもう慣れたけど」
 ユタカ「ちょ、ちょっと、ラット様……!」
ストリバ「構わん。よく言われるから慣れている」
 ユタカ「は、はぁ……」
ストリバ「すまないな、もう少し笑う事が出来れば良いのだが」
 ラット「笑ってみりゃいいじゃん。唇の端をこう持ち上げてさ」
ストリバ「……こうか?(ニタリ)」
 ユタカ「ひ……っ」
 ラット「こえー!むっちゃ怖ぇぇぇ!それじゃぁ、お前の息の根を止めてやるって顔じゃねーか!」
ストリバ「む……そうか」
 ラット「目が笑ってないから余計不気味なんだよ!こう、アルセーヌ様みたいに、もっと優しげに出来ないのかよ!」
ストリバ「すまない」
 ユタカ「いえ、その、別に無理しなくても……」
 ラット「笑うなんて簡単だろー?楽しい事を思い浮かべるとかさぁ。子供の頃とか、お前どうしてたんだよ?想像つかないけど」
 ユタカ「ラ、ラット様、それはちょっと言い過ぎですよっ」
ストリバ「うむ……お前達の年頃に、私は父だったかもしれない男をこの手で殺してしまった事がある。どうやらそれ以来笑い方を忘れてしまったらしい」
 ユタカ「えっ」
 ラット「えっ」
 ユタカ「あの、そのっ……申し訳ありません!」
ストリバ「嘘だ」
 ユタカ「え?!」
 ラット「は?!」
ストリバ「今日は4/1だったから、ほんの冗談のつもりだった。こちらこそすまない」
 ユタカ「は、はぁ……」
 ラット「も、もう、俺は別に吃驚なんかしてねーんだからな!ストーンリバーのバーカバーカ!」

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  ユタカ「……ということがございまして」
アルセーヌ「あら。彼が冗談を言うなんて、かなり珍しいですわね」
  ラット「アイツ、冗談のセンス全然ねーよ!」
  ユタカ「ずーっと真顔のままでしたし、ホントに信じちゃうところでした」
アルセーヌ「ふふ、彼も大分ここに馴染んできましたのね」
  ラット「そうかぁ?」
アルセーヌ「実はストーンリバーは過去の事件が元で、感情が欠落してしまっているのです」
  ユタカ「え?」
  ラット「それってどういう……?」
アルセーヌ「彼は代々続く名門怪盗家の跡取りだったのですが、家族を守る為に、怪盗ではなく暗殺者に成り果ててしまった伯父を斬り殺してしまったのです。そしてその責任を取って出奔し、今は伯父の怪盗名を引き継いでストーンリバーと名乗っているのですよ」
  ユタカ「え、そ、そんな……?!」
  ラット「マ、マジで……?!」
アルセーヌ「勿論全部ウソですわ」
  ラット「ちょっ、アルセーヌ様?!」
  ユタカ「も、もう、アルセーヌ様まで!吃驚させないで下さい……!」
アルセーヌ「うふふ、ごめんなさいね。吃驚する貴方達が可愛くて、つい……」
  ラット「べ、別に俺、可愛くなんかねーし!!」
  ユタカ「ぼ、僕だって、可愛くなんか……」
アルセーヌ「うふふ。お詫びにこちらのスコーンも如何?」
  ラット「く、くれるっていうんなら別に貰ってやるけどさ……モグモグ」
  ユタカ「い、いただきます……。モグモグ」

 ガチャ(扉の開く音)
トゥエンティ「はぁい!今日も美しい僕が華麗に参上!」
  ストリバ「お待たせしました、アルセーヌ様」
 アルセーヌ「いらっしゃい。先に頂いていますわ」
   ユタカ「いらっしゃいませ、トゥエンティ様、ストーンリバー様」(ガタッ)
トゥエンティ「自分で注ぐからそのままでいいよ〜」
   ユタカ「あ、す、すみません……」(ガタガタ)
トゥエンティ「おや、アルセーヌ様も随分楽しそうですね?」
 アルセーヌ「ええ、とても」
  ストリバ「ラット、唇の端にジャムが付いてるぞ」
   ラット「分かってるよ、それくらい!これから取るところだったんだよっ」
 アルセーヌ「貴方達もはやく座りなさいな。一緒に楽しくお茶しましょう?」
  ストリバ「はっ」
トゥエンティ「イエース!勿論です、アルセーヌ様ぁぁ!」
 アルセーヌ「ストーンリバー、貴方の作ったこのスコーン、柔らかくて甘すぎず、とても美味しいですわ」
  ストリバ「はっ、有難きお言葉。勿体無く存じます」
   ラット「……なんだ、ストーンリバーもちょっとは笑えるじゃん。なぁ、ユタカ(ヒソヒソ)」
   ユタカ「え?あっ……そうですね(ヒソヒソ)」
トゥエンティ「なになに、何の話なんだい?」
   ラット「べっつに〜。こっちの話。なー?」
   ユタカ「え、ええ、まぁ……」
トゥエンティ「おやおや、内緒話だなんて随分仲良しだねぇ?」
   ラット「べ、別に俺たち仲良しじゃねーし!」
   ユタカ「え?あ、その……僕は別に……。あ、アルセーヌ様、紅茶お注ぎします」(ガタッ)
 アルセーヌ「あらあら、うふふ」

<おしまい>


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